高田 郁 あきない世傳金と銀〈3〉奔流編




「あきない世傳金と銀」シリーズの第三巻目「奔流編」です。

番頭の治兵衛が卒中で店を退き、阿呆ボンと呼ばれる四代目徳兵衛の妻となった幸でしたが、突然その阿呆ボンが逝ってしまいます。跡継ぎの四代目の弟の惣次は、「五鈴屋」の跡取りとなる条件として、幸が自分の妻になることと言ってきたのでした。

惣次の嫁となって町内にも認めてもらい、晴れて「五鈴屋」のご寮さんとして働き始めた幸に対し、惣次は、五鈴屋を日本一の店にする、そのために江戸への出店するという夢を話して聞かせます。そのために力を貸してほしいと言ってきます。

ただ、惣次は商売に身を入れ必死で働きはするものの、お家さんの冨久からすれば、奉公人を頭から怒鳴りつける惣次の姿は、ただ心がない商いとしか思えないのでした。

師走でのまとめての支払いである「大節季払い」を「五節季払い」とし、利息がかからない分商品の値段を下げるなどの改革を打ち出す惣次であり、五鈴屋の名を世間に知らしめるための宣伝の方法などの知恵を出す幸の姿もあり、五鈴屋は次第に順調人割り始めます。

しかしながら、「商いは情でするもんやない」という惣次はまた、幸に感謝をしつつも「私の陰に居ったらええ。何があったかて、私が守ってみせるさかいにな。」と言い、戦国武将になるつもりの幸の心とは微妙に異なる道をすすむのです。

その後、「店の外側を変える」、つまり呉服の仕入れの流れを変えると言いだした惣次でした。



やっと五鈴屋も軌道に乗ってきました。その間、四代目徳兵衛から五代目へと夫が変わりましたが、幸は更に商いの上での武将になるという思いを実践していきます。

実際、幸のアイディアを惣次が実行し、五鈴屋の世間への認知度は飛躍的に上がります。本書では、幸が商売の道の入り口に立って一歩を踏み出した姿が描かれているのです。

でありながら、夫にはなかなかに恵まれず、阿呆ボンの次の夫の惣次は、女である幸を認めるようでいてやはり自分の陰に置こうとします。

その結果、本巻の終わりには五鈴屋は大きなトラブルを抱え込むことになり、やはり幸の身の上に大きな転換点が訪れようとするのです。

なかなかに面白いシリーズとして大いに期待して読み続けていますが、その期待は今のところ裏切られることはありません。早速、続刊を早く読みたいと思うばかりです。
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