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川口 俊和 この嘘がばれないうちに





本書は、2017年度の本屋大賞でノミネートされ、大ベストセラーとなった『コーヒーが冷めないうちに』の続編です。

第1話 『親友』二十二年前に亡くなった親友に会いに行く男の話
第2話 『親子』母親の葬儀に出られなかった息子の話
第3話 『恋人』結婚できなかった恋人に会いに行く男の話
第4話 『夫婦』妻にプレゼントを渡せなかった老刑事の話




本書のそれぞれの物語の要約は、上記目次の通りです。


もし、これからこの作品を読む方であれば、上記目次以上のあらすじは読まずに直接読んだ方がいいと思います。


が、ほんのさわりだけ書くと、本書冒頭のプロローグで、過去に戻るためのルールが掲げられていて、前巻の『コーヒーが冷めないうちに』と同様に、過去に戻れる理由などには全く触れずに、この店の特定の椅子でだけ、当然の前提として過去に戻れるものとして話が始まります。

ただ、前巻と異なるのは、この店にはマスターの時田流の妻、時田計がいません。代わりに流と計との間の子、小学校一年生となるミキという少女がいることです。

本書では、この店の過去に戻れる席にいつもいる幽霊が、要(かなめ)という名前であって誰なのかも明らかになっています。そして、過去へ戻ることができる珈琲を淹れる時田数の物語が全編を通して語られています。



前巻については、ネットなどで見るとかなりの批判がありました。そのほとんどは、内容が薄く、人の「死」を簡単に扱い過ぎる、という点に集約されるように思います。そうした批判にもかかわらず、前巻『コーヒーが冷めないうちに』は六十万部を超える大ベストセラーになっています。

本書も、前巻の続編であり、内容は同じような構成ですから、当たり前ではありますが、前巻を批判的に見ていた人たちからは受け入れ難い作品だと思われ、同様に批判的な書き込みも多く見受けられます。


個人的には前巻で感じたと同じように、簡潔な一場面ものの物語としてそこそこの面白さを持った作品として、それなりに読み終えました。

ただ、同じような作品を二冊も読むと、前巻とは違い、内容の薄さ、という批判が、分からないではない、と思うようになってきたのも事実です。

本書の全編が愛する人の「死」が絡む話であり、状況の説明はあっても、人物の心象についての書き込みがあまり無いためか、どうしても読み手として感情移入しにくいとも感じてしまいました。

場面設定自体は、手を変え品を変えて、登場人物が時間旅行をするだけの理由をうまく説明してあると思います。でも、二巻目ともなり、それも全部の話が愛する人との「死」による別れ、となると、少し距離を置いて視てしまうようになりました。

もし三冊目が出るとするならば、多分読むとは思います。しかし、よほど人物描写をうまく書きこむか、読み手裏切るような新しい物語の展開でなければ、少なくとも私は読まなくなるかもしれません。

そういう、微妙なライン上にある作品だとの感想を持った作品でした。
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