鈴木 英治 果断の桜 沼里藩留守居役忠勤控




沼里藩留守居役忠勤控シリーズの第二弾です。

実に意外な終わり方をした前巻ですが、あれから五年が経過しています。相変わらず、妻殺しの犯人を見つけることもかなわないままに、日々の生活に戻っていました。



ある日、賄頭の大瀬彦兵衛が二百両という金を横領し自裁して果て、大瀬の事情を知っていると思われる中間の耕吉も失踪して行方不明だという。文太郎は藩主の靖興から、文太郎自らの手で二百両もの金を横領したのか調べるようにと申しつかる。

ところがこんどは、藩士の植松新蔵が僧侶、若い女、行商人、そして浪人らを斬殺するという事件を起こしてしまう。早速。水野家代々頼みである与力の伊豆沢鉦三郎から報告を聞いた文太郎が藩主に報告すると、やはり藩の浮沈に関わることでもあり、藩の生き残りをかけて調べるようとの命を受けるのだった。



前巻から始まった新シリーズの色が、本巻では少し明確になってきたと言っていいのかもしれません。

前巻の終わりで自分の妻を殺されるという衝撃的な展開になった本作です。文太郎が、妖刀といわれる「三殿守」を使い辻斬りを繰り返していた浦田馬之助を捕らえた際、馬之介から「必ず苦しませてやる。」と言われた言葉が妻の死と関わっていないとは思えないのでした。

賄頭の大瀬彦兵衛が自裁し、植松新蔵による僧侶ら四人の通行人の斬殺という事件が立て続けに起き、藩主の靖興は深貝文太郎に直接に探索方を命じるのです。

文太郎はそれに応え、自らの足で植松新蔵の足取りを追い、植松の行為の影に隠された理由を探り出します。


本書はミステリーというには謎が謎として成立しているとは言えず、かといって、主人公の剣の腕が立ちはしますが、ヒーローものと言えるわけではありません。

強いて言えば、文太郎による捕物帳というべきなのでしょう。その点ではこの作者の『口入屋用心棒シリーズ』と同様の小説と言えると思います。

文太郎の妻が、何故に殺されなければならなかったのか、という大きな秘密を抱えたままにシリーズは進むと思われます。そういう意味では、次巻のでるのが待ち遠しいとまではいきませんが、気にはなりつつ、新しい巻が出たら読む、ということになると思います。

主人公の思惑に乗ってストーリーが進み、軽い剣戟もありつつ、テンポのいい物語の流れにまかせて時間が過ぎる、そういう心地よさのある作品であり、鈴木英治という作者の世界に浸る小説です。
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