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鈴木 英治 武者鼠の爪-口入屋用心棒(38)




口入屋用心棒シリーズの第三十八弾です。


前巻で予想した通り、本書では、未だに帰ってこない秀士館の医術方教授の雄哲と、その雄哲を探しに行ったっきり帰ってこない一之輔を探しに出かけることになります。



秀士館では、館長の佐賀大佐衛門を始め、薬種教授方で薬種問屋古笹屋主人の民之助なども集まり、半月もの間、何の連絡も無いのはおかしいと、佐之助と民之助は一之輔が生国だと言っていた川越へと探索に向かうことになります。直之進は、御上覧試合の決勝で室谷半兵衛に打たれ骨折した右腕も癒えていないため留守番ということになったのです。

そのころ、川越の新発田従五郎の屋敷では、八重姫を助けるために雄哲が必死の看病を続けていましたが、その新発田屋敷を見張る目がありました。

一方、富士太郎も雄哲の探索に加わり、品川で雄哲が川越行きの船に乗り込んだことを聞き込み、直之進に知らせます。そこで、直之進も川越へと向かうことになったのでした。



何かと事件が起きる秀士館であり、その解決に奔走する直之進と佐之助の姿が、いつもの通りに描かれています。

やはり、痛快時代小説では主人公らの活躍の場面を見せねばならず、そのためには主人公が魅力的に活躍するための、魅力的な事件を設定する必要があります。

通常は、幕府なり、有力藩の勢力なりの強大な権力を主人公の敵と設定するなどして、シリーズを通して主人公の活躍を描きだすことが多いのですが、本シリーズの場合、今のところそうした手法は取っておられず、言わば巻ごと、少なくとも数巻ごとに新たな敵を登場させておられます。

そのためなのか、このシリーズに若干マンネリ感を感じているのも事実です。やはり、魅力的な主人公にはそれに見合うだけの敵役の存在がなければならないというのは、痛快時代小説に限らない基本的な事柄のようです。

その意味でも、この頃の本『口入屋用心棒シリーズ』には魅力的な敵役が存在していません。

以前は、その役こそが佐之助だったのですが、現在は逆に直之進の親友になってしまっていますので、なんとか新たな敵役を創出して欲しいものです。


本書では、川目郷之助という忍びの頭目が直接的な敵役として登場しますが、どうしても今ひとつの印象しかありません。本書『武者鼠の爪』というタイトルにも関わる人物として登場している男ですが、個性的な性格設定をしてはあるものの、佐之助や直之進らシリーズを通して成長してきたキャラクターに見合う人物とは言えないようです。

面白くないシリーズではありません。面白いのは面白いのですが、何とか、もう少しの奮起を願いたいところです。
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