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辻堂 魁 天地の螢 日暮し同心始末帖4




日暮し同心始末帖シリーズの第四弾です。

今回は、ある人間の、その生い立ちから今に至るまでの、悲劇的というしかない歴史に隠された一人の人間の悲哀を背景に、事件解決に奔走する龍平の姿が描かれています。

これまで、このシリーズでは「あらすじ」を各章ごとにまとめていましたが、やはりどうしてもネタバレ的でありよくないと思いなおしました。

あらすじは、公開されている「「BOOK」データベース」に任せることにします。


両国川開き大花火の深夜、薬研堀で勘定組頭が斬殺された。刀を抜く間も与えぬ凄腕に、北町奉行所平同心の日暮龍平は戦慄した。先月の湯島切通しと亀戸村堤での殺しに続く凶行だった。探索の結果、いずれの現場近くにも深川芸者くずれの夜鷹の姿が。やがて、人斬りと女のつながりにとどいた龍平は、悲しみと憎しみに包まれた真相に愕然とし―剛剣唸る痛快時代! (「BOOK」データベースより)



結局このシリーズは前回書いた「弱者の悲哀」という視点を持ったシリーズとして展開していくようです。ひたすら耐えるしかない弱者の怨み、憎しみを代わりに晴らす、という痛快小説の一つの形を踏襲していくと思われます。

ただ、本書『天地の螢』は、その路線そのままではなく、本人の復讐譚という話になっています。

それはそれでひとつの形であり、勿論本書も面白い物語です。

物語の展開として、話の筋の進め方、その場の舞台背景の描写など、読み手が次第に物語世界に引き込まれる描き方ができていて、違和感を感じることなく物語世界に入りこめるのは、やはり作者の腕のためだと思われます

先にも述べたように、このシリーズは決して明るい物語ではありません。でありながら、物語が暗く、そして重くならないのは、本書の最後での龍平と俊太郎との会話で場面で、

「俊太郎に倣って、真っ直ぐ前を見つめた。すると、ささやかだがとても清々しい気分が胸いっぱいにあふれた。父と子の進む道の先には、晩夏の果てしない青空が広がっていた。」


と描写されているように、主人公らの姿がいつも前を向いていて、決して後ろ向きではないことにその一番の原因があるのだと思います。

このところ、辻堂魁の小説にはまり、全部の作品を読破する勢いで読んでいます。それだけ私の好みに合致しているのでしょう。

痛快時代小説の今一番の作家さんだと思います。
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