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高田 郁 あきない世傳 金と銀(五) 転流篇




「あきない世傳金と銀」シリーズの第五巻目「転流篇」です。



前巻で決まった、真澄やを敵に回して五鈴屋が桔梗屋を買い上げる話が、天満組呉服仲間の寄合で正式に認められ、五鈴屋はこれまでにも増して一気に大きくなりました。

かつての桔梗屋の奉公人とこれまでの五鈴屋の奉公人との仲もほどほどにうまくいっている中、幸は、江戸への出店を具体的な目標として考え始めるのです。

その年の霜月(旧暦11月)、幸の母親の房が亡くなり、妹の結は幸らと共に住むことになります。店の女衆とも馴染み、なんとか明るく暮らしていく結でした。

そんなとき、幸の妊娠が判明し、喜びに沸く五鈴屋でした。



今回の幸は、これまでの四巻ほどではありませんが、それでも普通の人にとっては大事件と言うほかない出来事に見まわれます。

そうした襲いくる逆境に対しても、強く逞しく生きるのが高田郁の描く女性であり、この『あきない世傳金と銀』シリーズの幸です。そして、新たな商売のあり方を考え、「買うての幸い、売っての幸せ。」という信条を常に胸に刻んで商売にまい進するのです。

大坂の商人の物語であり、つまりは幸自身のこともさることながら、五鈴屋という店の発展が描かれることになります。そのためには、商品を売る新しいアイデアが要求されますし、そのアイデアはもちろん現実に即したものでなければなりません。

そういう意味では作者の苦労は相当なものがあると思うのです。しかし、そうした苦労を感じさせることなく、物語は更に意外性を持って展開していきます。


もうそれくらいにして、いいのではないかと思うくらいの運命の変転に振り回されている主人公の幸ですが、本書においても最後にまた結構な衝撃が襲います。

あまり難題をふりかけすぎると、読み手にとってもは少々疲れる物語になるのではないかと心配になるのですが、そこは高田郁という作者の腕の見せ所なのでしょう。

これからの展開を待ちたいと思います。

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本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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