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今村 昌弘 屍人荘の殺人




第27回鮎川哲也賞を受賞し、第15回本屋大賞では第3位となった、奇想天外なアイデアを取り込んだ本格派の長編推理小説です。



メンバーが会長以外一人しかいない神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲は、会長の明智恭介に連れられて、剣崎比留子という女子学生と共に、映画研究部の夏合宿のために、映画研究部OBのつてで「紫人荘」という名のペンションへとやってきた。

しかし、その別荘では思いもかけない事態が起き、別荘に閉じ込められ、更には参加者の一人が惨殺死体となって見つかるという事態に陥ってしまうのだった。



本書は、私があまり好むところではない本格派の推理小説です。それも、いわゆるクローズド・サークルというタイプで、「何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品」( ウィキペディア : 参照 )、というものです。

ただ、本書はこれまでの本格派の推理小説とは大きく異なるところがあります。それはこのクローズド・サークルに陥る状況が奇想天外だというところです。そして、その奇想天外な原因が、以降の探偵による推理の過程や根拠にも大きく影響を与えています。

この奇想天外な状況をここで書いてもそれほどネタバレとは言えず、また他では簡単に書いてあるレビューもあるようですが、できれば直接読んでもらいたいものです。


本書の奇想天外と言われる状況を受け入れにくい人には本書はお勧めできません。一旦受け入れるにしても、推理の過程でも前提となるわけですから、少々違和感は残るのです。

でも、その事情を書かないということは、内容についても触れることはできないということで、結局は読んでみないと何も分からないことになり、つらいところです。


そうした状況設定は別にして、本格推理小説としての出来はどうかといえば、個人的にはよく分からないというのが本音です。ただ、鮎川哲也賞を受賞している作品ですから、ロジックのミスは多分ないと思います。

小説としての出来はといえば、本格派のミステリーをあまり好まない私としては今ひとつでした。それとは別に、登場人物のキャラクターに馴染めないという点、また探偵役やワトソン役の人物像がよくつかめなかったというのも大きいと思います。


さらに言えば、犯人の仕掛けたトリックも納得できるものとは言えませんでした。とはいえ、完全に個人的好みの問題ですので、本格ミステリーが好きな人はまた違った印象だと思われます。

少なくとも、色々なレビューを読む限りではかなり評判はいいようで、私の様な感想は少数派と言えます。やはり本屋大賞候補になっている作品にはそれなりの面白さがあるということでしょう。

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