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結城 充考 捜査一課殺人班イルマ ファイアスターター





捜査一課殺人班イルマシリーズの第二作目の長編ミステリー小説です。



東京湾の北部中央、陸から約10キロメートルも離れた場所に浮かぶ新日本瓦斯開発株式会社の天然ガス掘削プラットフォーム「エレファント」で死亡事が発生した。折しも襲いかかろうとしている台風の悪天候の中を、調査のために警視庁捜査一課殺人班のイルマこと入間祐希が「エレファント」にやってきた。

新日本瓦斯開発株式会社のHSE統括部長である伍藤貴教は、この施設の順調な運営をのみ考え、できるだけ事故として処理しようとしている。

イルマが到着後から嵐はひどくなり、社員への事情聴取を進めるなかで、衛星通信用の大きなアンテナが折れ曲がり、使い物にならなくなっていた。

アンテナは嵐で壊れたのか、それとも爆弾魔≪ボマー≫により破壊されたものなのか。そのとき、監督室からデリックの土台部分に人がいるのが見えるのだった。



本書は、本格派の推理小説ではありません。でありながら、状況はいわゆるクローズドサークルのように、施設内に閉じ込められた人間に限られています。そして、その限られた施設の中にいる≪ボマー≫を見つけ出す、というサスペンスフルな物語になっています。

ただ、どちらかというとアクションメインの物語であり、イルマという女刑事の“暴走”と言ってもよさそうな行動が目につく物語です。


吹きさらしの海上で、犯人逮捕のために命の危険を犯して猛烈な嵐の中に出ていく主人公の行動力や、このプラントの管理者や作業員などに対する人を小馬鹿にしたような物言い、など、ハードボイルドに似たタッチも感じられる物語です。

しかし、やはり客観描写という手法ではなく、人物の主観を詳しく描きながらのアクション中心の物語である本書をハードボイルド作品ということはでいないでしょう。


イルマの仲間の登場もない本書は特にですが、主人公のイルマのキャラクターに乗っかった作品となっています。

そしてこのイルマの描写がアクションメインということになるのです。本書がイルマシリーズの二作目ということもあり、イルマという人物の背景描写がほとんど無いこともあって、イルマの物語という印象が強くなっています。

ただ、デッキクレーン操縦士の加島という男だけは印象深く、特別な存在であるようです。その正体が曰くありげなところもまた善とも悪ともとれる微妙な立ち位置となっています。

また、本書で描かれている、天然ガス掘削プラットフォームの描写はかなり詳細にわたっています。かなり資料にあたっれたのでしょう。そうした舞台背景もサスペンスフルな物語の構築に役立っています。


ただ、それ以上のものは感じられません。イルマという人間も向こう見ずという印象だけです。その他の登場人物にしても、その人物の個々の歴史などの個別の背景はありません。

そう言う意味では純粋なアクション小説と言い切ってよさそうな物語になっています。そして、個人的にはその点が物足りない点でもあるのです。
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