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朝井 まかて 先生のお庭番

先生のお庭番先生のお庭番
(2012/08/11)
朝井まかて

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熊吉は異人さんの屋敷へ庭師として通うことになった。「しぼると」というその人には「おたくさ」と呼ばれている滝という奥方がいて、「おるそん」という使用人を使っていた。長崎は出島にあるその屋敷の薬草園には種々の草木が植わり、朝な夕なにその庭の手入れをすることが熊吉の仕事だった。色々な侍や商人がその屋敷には訪れるが、熊吉はひたすら薬草などの仕分け、整理に精を出すのだった。

シーボルトの庭師として雇われた男を通して、シーボルトの眼を借りて見た日本再発見の物語と言えると思います。

また、異国の地に来たシーボルトという人間の滝への愛情の確認という側面もあるかもしれません。読み手次第で変わると言って良いのではないでしょうか。

この作家の文章は決して派手ではありません。しかし、丁寧で品格があります。その語り口でシーボルトの口を通して、美しい日本の四季、日本人の誠実さを語らせているのです。

維新直前の日本は、今ではもう殆ど無いといってもいいかもしれない日本人の生活に根差す礼儀や美徳、自然そのものに対する畏敬の心であふれていました。その自然も今では日本国のあらゆる所に構築された人工物が見えない個所はまずないといってもいいほどです。そうした失われつつある美しい日本への作者の賛歌とも言うべき一冊です。

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