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今野 敏 継続捜査ゼミ






継続捜査ゼミシリーズの第一巻の長編推理小説です。


この継続捜査ゼミで取り上げる事件は、十五年前に目黒署管内で起きた強盗殺人事件です。結城元(七十九歳)、多美(七十八歳)夫妻が居直り強盗に殺されたとみられている事案です。

ゼミ生たちはこの事案について、素人ながらの疑問点を挙げていきます。それは、午後三時ころという時間帯の割には目撃情報がないということであったり、犯人は見つかっていきなり刺したと思われている点や、その後すぐに逃走している点などでした。

ゼミ生たちはこの事件をテーマに現実の捜査について学んでいくのですが、安達蘭子の言葉をきっかけに学内で起きている事件、具体的には運動靴の片方がなくなる事件についても考えてみることになります。

また、小早川が初めて親しくなった竹芝という日本文学科の教授からも、自分には身に覚えのない、とある女生徒の写真についての相談も受けるのでした。



本シリーズの特徴は、何といっても探偵役が大学教授とそのゼミ員だということです。そこにオブザーバーとして現役の警察官が参加し、継続捜査になっている過去の未解決事件を解決するという、なかなかにユニークな設定の小説になっています。


ある種ミステリーの中でもいわゆるアームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)と呼ばれる分野に属するといってもあながち間違いではなりそうな構成です。


すなわち、小早川教授およびゼミ生たちは、過去の事件の捜査資料を基に推論を働かせ、疑問点を洗い出し、オブザーバーの警察官から提供される疑問点に対する答えから、事件の犯人を見つけます。

時には事件の当事者たちや現場にも赴いたりもしますので、厳密な意味ではアームチェア・ディテクティブとは言えないのでしょうが、推論メインの作品であるという点では同様に思えます。


とにかく、本書のメインはゼミの場においてのゼミ生と小早川教授の会話にあります。

通常の警察小説であれば一人もしくは数人で行う推理の過程を、五人の女子大学生と一人の元刑事が討論に近い形で事実を検証して確定し、その上で推論を重ねていく過程は読みごたえがあるのです。

ここで登場する五人の女子学生がなかなかに曲者です。

弁護士顔負けの法律知識を有する安達蘭子をはじめ、UMAなどに関しての知識を有する瀬戸麻由美、武道家の西野楓、歴史に詳しい加藤梓、そして薬関係に強い戸田蓮と、ほかの小説では専門家が登場する場面をゼミの中で解決できるのですからかなり優秀なゼミなのでしょう。

小早川及びそのゼミ関連の登場人物のほかに、新米教授の小早川と何かと話が合う竹芝教授がいます。

この教授が一般的な大学の先生を代表していると思われ、大学教授と学生との関係を単なる卒業し就職するための道具と捉えがちな現代の大学の抱える問題点を端的に提示してくれます。

実に今野敏らしい、読みやすい小説です。楽しみが増えました。
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